棚橋咲月 伊藤秀樹 堀越理菜 渡辺純子
熊本県南部を中心に甚大な被害が出た記録的豪雨災害から4日で1年がたった。熊本県内では各地で犠牲者の追悼式が営まれた。遺族らは悲しみを胸に祈りを捧げ、復興を誓った。
一連の豪雨では、九州5県で関連死を含め79人が死亡し、2人が行方不明になっている。
球磨(くま)川が氾濫(はんらん)し、21人が亡くなった人吉市では、市と県主催の追悼式に30人が参列した。新型コロナウイルス感染防止のため参加人数を絞って行われた。人吉で生まれ育ち、両親を豪雨で亡くした西村直美さん(52)=北九州市=は遺族代表として、「被災後の混乱の中でどれだけの方に支えられたことか。両親も故郷人吉の家も失ったが、決して諦めない。人も自然も豊かで美しい人吉球磨の街を復興させていく」と語った。
25人が亡くなった球磨村や、八代市、津奈木町でも追悼行事があった。(棚橋咲月)
「ふるさとにいるはずの2人がいないということが、今でも信じられない気持ちです」。人吉市の追悼式で、西村直美さん(52)=北九州市=は亡くなった父の西橋欽一さん(当時85)と母の恵美子さん(当時82)への思いを語った。
教職をめざして進学するまで人吉で育った。結婚後は孫の成長を見てもらおうと、休みのたびに帰省した。両親は孫の成長を何よりも喜んでくれた。昨年7月4日も家族で帰省する予定だった。「父と母は、娘と孫の帰りを本当に待っていたのだと思う。もっと早く帰ってあげればよかった」
1年前の朝、北九州市の自宅…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル